鎌倉美食巡り – 和の空間でいただく中華「イチリンハナレ」

by Michelle
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2019年食べ納めとして訪れたのは、鎌倉にある中華「イチリンハナレ」。行ってみたいリストに入っていたものの、日本で中華は食べたくないという変な信念?からなかなか訪れる機会がなかったお店だ。

上海での生活をはじめてから、日本で高いお金を払って中華を食べるのが馬鹿らしくなってしまった。というのも、日本の中華は高級か家庭的かの二極化している印象。見た目や空間にこだわったお店となると、数万円は下らない。その一方で、上海では1万円以下(なんなら5,000円以下)で見た目も味も満足する中華料理にありつける。

今回訪れたイチリンハナレは、都内の「チャイニーズ一凛」の離れとして、2017年4月に鎌倉にオープン。シグネチャーメニューのよだれどりなど、中華の中でも四川のジャンルにあたるお店だ。

成都に2度足を運んだが、本場の四川料理の麻辣(マーラー)の味付けはしびれる辛さが特徴で、日本人の舌には辛すぎることもしばしば。ところが、このお店ででてくるよだれどりは、艶やかな辣油の真っ赤な辛さが見ただけで辛そうだが、いざ口にするとまろやかでとても食べやすい。まさに、日本人の口に合う味付けなのだ。

今回の食事、この日は珍しくカメラ持参で食事に伺ったので、写真と共に振り返りたいと思う。

JR鎌倉駅西口のロータリーからタクシーに乗車。10分もかからず、1メーター料金で到着。お店の前は細道になっているため、近くの通りで下車し、徒歩で向かう。

看板がでているわけではなく、民家が立ち並ぶ中にひっそりと暖簾がかかっているのがイチリンハナレだ。

門を潜るとそこには日本家屋が。

お店の方が扉を開けてお出迎えしてくれる。冬の時期は足元が冷えるので、かわいらしいムートンスリッパを用意してくれていた。

夫と2名予約で通された席はカウンター。背には中庭が眺められる大きな窓があった。

席についたら、最初にコースの確認と飲み物のオーダー。週末は昼夜同じコース内容となっているそうで、白子や上海蟹が苦手なため1万円のクラシックなコースを事前オーダーしていたが、この時期ならではの上海蟹を食べにくる人も多いのだとか。

紹興酒のペアリングもあるので、飲むのが好きな方はきっとこちらをオーダーするのだろう。

未だに授乳していることもあり、最初の1杯だけ白ワインをオーダー。シャルドネを勧められたので、お勧めに従った。

いよいよ楽しみにしていたコースがスタート。

最初の一品はジャスミンライスのお粥。九十九里で取れたハマグリのお出汁が沁みわたる、味ははっきりと濃厚、でもサラッと食べられる一皿。

続いて”クラゲ”とメニューに記されたお料理。

小皿の絵柄とお料理の色合いがどことなくリンクしている。家でもこういうお皿とグラスを合わせて前菜を出してみようと、メモメモ…

クラゲは細く線状にしてあり、グラスの下部には蟹が入っている。ふわっと柔らかい蟹とクラゲの歯応えが合わさって口の中で食感のコントラストを楽しむ。個人的には見た目と味と食感と、この日1番のお気に入りとなった。

シグネチャーメニューである、よだれどりはつい1週間前に日比谷のテクストゥーラでいただいものと同じ。白レバーのパテが上に添えてあり、より味にまろやかさを足してくれる。いつもヒリヒリ感と共に中国で食していたよだれどりとは全くの別物。

肉汁が溢れる大きめの餃子は、よだれどりの余ったタレにつけていただく。

メニューの”につける餃子”というネーミングもユニークだ。

こちらもテクストゥーラと同様、焼きフカヒレとあんかけ状になった鶏の白湯スープ。

違ったのは、この中にお米を入れてあんかけのソースもしっかり最後までいただくということ。

この辺ですでに腹八分…と思いながらも、コースはまだまだ続く。

2種類の山椒が添えられた豚。

五島列島のクエと四川の漬物を煮込んだ、その名も”五島列島”。

ほんのりしびれる、それでいて食べやすい麻婆豆腐。

景徳鎮のレンゲは、個人的には使用をためらったけれど、よそうときに使ってみた。

というのも、景徳鎮陶器は年代によっては絵具に鉛が含まれており、食用には適さないのだ。デッドストックの景徳鎮のこの鮮やかな色彩は、どうしても日本の絵具での再現は難しい。しかし、鉛のせいで食用の器としての輸入は現在では厳しくなっているのだ。

2020年は横浜での景徳鎮陶器の絵付け教室開催に向けて準備をしているが、鑑賞用に個人的にも集めている景徳鎮。奥が深い上に、やはり中華の食事の場に並ぶととても美しい。

食後のデザートはもなか。

中にはアルコールを飛ばした紹興酒アイスが入っている。甘すぎず、コースの最後にぴったり。

最後に用意された御茶菓子は左から中華風が3つ、スペイン風が3つの計6つ。

真ん中のキャラメルを除いて、持ち帰り用に包んでもらうこともできる。

御茶菓子に合わせて最後に中国茶の中から東方美人をオーダー。他にも冷たい中国茶も用意されていた。

1ヶ月ほど前に予約の電話を入れた際、正直イマイチな対応だった。話し方が雑、電話口の方も何度も入れ替わり、その都度希望の予約内容を何度も説明しなければなかったり、予約がいっぱいです、やっぱり空いてます、やっぱり空いてませんの繰り返し。(果たして何を見ながら会話しているのだろう…)

正直もう行くのをやめようかと思ったけれど、実際訪れてみると感じのいいスタッフの方ばかり。

シェフも気さくで、ちょっと天然のスーシェフの方とのバランスもよく、カウンター席ならではの”会話”も楽しめた。

中国で食べる中華と違って、日本人に合わせた中華を意識しているとのこと。例えば、大陸の中華料理は菜種油をよく使うそうだが、同じ植物性油と言えど日本人には少々重たいようだ。

「油の量ではなく種類。」

シェフによると、どの油と合わせるかで辣油の引き立ち方もぜんぜん違うとのこと。

こちらのお店は鎌倉という立地柄、お昼の予約から埋まるのだそう。まだ日の明るいうちから、古民家を改装した和にちょっとモダンさを加えたカウンターテーブルでお庭の景色と共に中華をいただく。そんな体験ができるのも、日本で食べるからこそ。

今回、予約問題はあったにせよ、味も満足いくものだったので是非再訪したいお店リストに仲間入り。個室であれば小さなお子様連れもOKとのことだったので、ぜひ家族みんなでも訪れたい。


how to get to…

イチリンハナレ
神奈川県扇ヶ谷
【Google Map】

営業時間:11:30am – 3:00pm/5:30pm – 10:30pm

定休日:不定休

https://whaves.co.jp/ichirinhanare/

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