映画『82年生まれ、キム・ジヨン』を見て心が苦しくなったこと

by Michelle

久しぶりの日記blog。
日頃は旅先やホテルに関する記事ばかりだが、たまには自分の気持ちを書きたくなった。

韓国で130万部突破した話題の書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』
女性が直面する様々な困難をリアルに描き、多くの共感を呼んでいる作品だ。

本を読みたいと思いながらも時間が取れず、映画化を期にコロナ後初の映画館に足を運んだ。
約2時間の上映中に、夫から鼻炎と間違えられるほど鼻をすすっていた私。涙腺が崩壊して涙が止まらなかったのだ。

今の気持ちを忘れないために、また文字に起こすことで心を整理するためにこのblogを書いている。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、韓国の小説を元にした映画。
私は韓国が大好きだ。韓国にはプライベートでも50回近く足を運び、韓国人の友人も数多くいるし、中には結婚式に足を運ぶほど親やパートナー含めた家族ぐるみの付き合いの親しい友人だっている。そんな中で韓国社会や文化について多少は理解をしているつもりで、薄々と気がついていた男尊女卑の文化についても改めて思い出すきっかけとなった今回の映画。

 

私が新卒で入った会社を選んだ理由のひとつは「男女関係なく平等に働けそうだから」。
女性だからという理由で男性に負けたくないと、生意気に学生時代は言っていたが、
映画の中の「女性は結婚や出産で働けなくなる」というフレーズが今なら身に染みてわかる。
女性と男性は違う。気付きたくない事実を真っ向から突きつけられるような苦い気持ちになるのは、
どこかでまだ社会のなかで男性と同じように働いたり、地位を求めたいと思う部分があるからなのだろうか。

 

映画を見ていてなぜこんなに胸が苦しくなるのか、映画を見終わった直後はうまく整理できなかったのだが、
一番響いたのは映画の中での主人公キム・ジヨンが2歳2ヶ月の子供の母親であることだった。

朝、ベランダで目を閉じてちょっと一呼吸する。
自分と向き合う静寂の時間かと思いきや、子供の泣き声で現実に引き戻される。
社会との壁、孤独感。全てに共感するわけではないものの、母であることと社会と切り離された孤独感と何者でもない自分に押し潰されそうになるプレッシャーが容易に想像できて、主人公キム・ジヨンの精神面にも影響するのが理解できる。

日中のカフェで遭遇した会社員男性たちから子連れでいることに対して虫呼ばわりされ、邪険に扱われるシーンは、
日本での子育て、子連れでのお出かけの肩身の狭さに重なった。
公園で子供をあやすキム・ジヨンに対して、旦那のお金で楽して生活できて羨ましいだの嫌味を放つ会社員男性の声は、きっと世の中の声をそのまま描写しただけにすぎない。
育児は休みではないにも関わらず、結局はこれが実際の見られ方と現実の声なのだ。

 

私には映画と同じく、ちょうど2歳2ヶ月になる息子がいる。
子供はかわいい。ただ、性格的に母親、そして誰かの奥さんという肩書きだけではどうしても満足できない。
“働く=社会との繋がりを持つ”と言う方程式が自分の中であって、何かしていないと落ち着かないのだ。

夫の転勤に伴い一旦会社員を離れてフリーランスの今、会社員のように産休育休など制度はない。
強制されたわけではないが、出産のために入院した時も、病室のベッドの中で記事を入稿していた。

休むかどうかは自分次第。何かしら仕事をしたい、好きなことを仕事にしているからこそ続けたい。
ただ、子供が生まれると自分の思い通り、計画通りに物事が進まなくなる。
うまくタイムマネジメントできないことも多々あるし、集中できないことから効率が落ち、
結果子供が寝た後にもろもろの仕事を片付けることで睡眠不足に陥ることもしょっちゅうだ。

やりたいこと、挑戦したいこともたくさんあるが、子供がまだ小さいから働き方を考えて躊躇してしまうことがある。
周りで仕事で成功している友人を見ると、うらやましく思うこともたくさんある。
同じような気持ちの人もいるのでは…

 

 

長々と書いてしまったが、結局何が言いたいかと言うと、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』を観て欲しいということ。できれば男性にも観て欲しい。

今回夫を誘って一緒に観に行ったのだが、私のうまく言語化できない日々の気持ちを、この映画を一緒に観たことで少しは汲み取ってもらえた気がする。

子育は大変だなぁと日々感じる中で、それでも社会とも繋がっていたい、“仕事”という責任を伴う労働を続けたい。
最近働き方に対して悩みを感じていたこのタイミングで『82年生まれ、キム・ジヨン』を観てしまったので、明日は目がパンパンに腫れそうだ…

 

 

…..追記

この映画はすごく響く人とそうではない人、極端に分かれる気がする。
共感が全てではないし、それこそ思考の違いなのだ。
働くことが偉いわけでも、育児だけに専念することに否定的なわけでもないことを追記しておく。

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