パンデミック後の航空券価格、燃油サーチャージの高騰。家族が増えて、海外旅行の渡航費は昔の何倍にも…
そんな中、海外旅行を検討している家族連れに声を大にしてお勧めしたいエアラインがある。その名も「ZIPAIR(ジップエア)」。
2020年6月に運行開始し、日本航空(以下JAL)傘下のLCC(格安航空会社)として話題の株式会社ZIPAIR Tokyoは、これまで安かろう悪かろうなネガティブイメージがあったLCCの印象を払拭する斬新なエアライン。実際に乗ってみたらコスパの良さにリピート決定したほど、我が家では高評価だ。
今回blogでは子連れ海外旅行検討中の方にZIPAIRのおすすめポイント、正直に感じたマイナスポイント、予約時の注意や実際の料金についてなどご紹介する。
【 Contents List 】
ZIPAIR基本情報
ZIPAIRの就航先(2023年5月現在)
▲引用:https://www.zipair.net/ja/about#airportInfo
ZIPAIRは東京-成田国際空港を拠点とし、2023年5月現在以下の地域に運航している。
韓国(ソウル-仁川国際空港)
フィリピン(マニラ-ニノイ・アキノ国際空港)
タイ(バンコク-スワンナプーム国際空港)
シンガポール(チャンギ国際空港)
アメリカ(サンフランシスコ国際空港、サンノゼ国際空港、ロサンゼルス国際空港線)
LCCというと短距離路線のイメージが強く、これまで私自身ヨーロッパ内や東南アジア間の移動でしか乗ったことがなかった。だが、ZIPAIRはアメリカ本土への長距離路線も就航し、実質中長距離路線のLCCとして運行を行なっている。
LCCならではの低価格
LCCはその名のとおり航空券単体の価格が安い。機内サービスやアメニティ、手荷物などを有料化することで、サービスを削ぎ落としてコストを抑えている印象が強く、個人的にはそこが嫌いで、なかなか利用することはなかった。
私自身、旅慣れていると思うものの旅行の荷物量は非常に多いタイプ。(過去エアアジア搭乗時など万単位で追加料金払ったり、過去最高額がエミレーツで請求された10万円の荷物預かり入れ追加料金だったりする)さらには、空港ではラウンジも使いたいし、上級会員ステータスの恩恵に預かって優先レーンなども利用するため、今さら子連れ旅でLCCなんて…と思っていた。そう、今回GW旅行で利用するまでは…
2023年のゴールデンウィークはタイに行くと決めたものの、家族5人(私、夫、私の母、4歳boy、1歳girl)で行きたい日程のJAL航空券が約60万円超え。一方でZIPAIRではトータル約45万円ほどで収まった。この15万円の差を大きいと考えるか、そうでないか。前者の方だけこの先を読み進めてほしい。
家族連れの強い味方「U6」サービス
今回実際に4歳と1歳児と一緒に予約・搭乗をしてみて、「JALのビジネスクラスよりZIPAIRに乗って海外に行きたい!」と思うように。ここではその理由のひとつ、ZIPAIR独自の「U6」サービスについて触れたいと思う。
航空券価格の概念を覆す「U6 Standard」運賃
“2歳以下は国際線の航空券座席不要。”
このルールがあるため、2歳になる前までにたくさん海外旅行へ!という方も多いだろう。私自身もそうで、第一子boyが生まれた後は、今のうちにと0歳児の頃から毎月国際線に搭乗していた。
バスや電車、そのほかの公共交通機関では未就学児は無料だったりする一方、フルサービスキャリア(一般的な航空会社)は運賃の75%を子ども料金と設定している。機内食も食べないし、お酒も飲まない。そんな子どもに75%の運賃を支払って飛行機に乗るのはなんとなくコスパが悪い。そう感じる方に朗報。
ZIPAIRでは、6歳以下の未就学児片道運賃がなんと東京(成田)-ソウル(仁川)線は3,000円、東京(成田)-バンコク線は5,000円、東京(成田)-ホノルル線は7,000円に設定されているのだ。
2歳未満の子どもに座席とチャイルドシートを用意してくれる
「ZIPAIR、すごくいい!」そう思った一番のポイントがチャイルドシート。
よくよく調べるとほかのエアラインでも貸し出しがあるようだが、これがあるのとないのでは機内での過ごし方が大きく違うと思う。
飛行機の座席に小さな子供が座る場合、あまり安定感がないのだ。寝るとなってもエコノミーやプレエコではフルフラットにはならないし、正直不便。そんな中、チャイルドシート座席が無料で用意されるとなると、安心、安全。我が家のgirlは普段車に乗ることが多く、チャイルドシートにも慣れているので、ぐっすり眠れたようだ。
座席指定料が無料
LCCに乗ったことがある方はご存知の通り、基本的には事前に座席指定をする場合は、お金がかかる。しかし、ZIPAIRでは子どもの座席およびその隣の大人の座席指定料が無料!
今はフルサービスキャリアでも足元の広い座席は指定料がかかる時代。
こんなに家族連れに優しいサービス展開していることに驚きを隠せない。
U6のサービスについては条件もあるため、必ず予約の前に公式ページでご確認を。
ZIPAIRの予約時の注意点!マイナスポイントも紹介
ZIPAIRの解説blogは溢れているので、ここからは実体験をもとに、個人的な感想も踏まえてZIPAIRの予約から搭乗までについて触れようと思う。GWのタイ旅行は夫が手配、続く夏休みハワイの往路(復路はJAL便を片道手配)は私自身が予約してみて、気づいたことや失敗談なども記載する。
予約する前に手続きしたい「ZIPAIR Point Club PLUS」
ZIPAIR利用者向けに、年会費無料の会員制度「ZIPAIR Point Club」があるのだが、別途5,000円の年会費を支払うと受託手荷物を30%割引で購入可能(Webからの購入のみ)になる「ZIPAIR Point Club Plus」という有料会員プログラムがある。
先日ハワイ旅行のチケット手配完了後に出てきた画面でこの会員プログラムを知った私は、正直もっと早く入会しておけばよかった…と後悔した。というのも、バンコク旅行、ハワイ旅行共に受託手荷物料金を何万円分か支払ったのだが、ZIPAIR Point Club Plusでは30%の割引があるのだ。
例えば、成田 – ホノルル間では、32kgの 受託手荷物料金はひとつ当たり6,500円。
往復で3つ以上手荷物を預ける場合、5,000円の年会費を支払う方がお得になっている。
韓国など近距離路線ではあまりお得感がないものの、我が家のように普段フルサービスキャリアでもギリギリの預け入れ手荷物がある方は、ぜひ航空券を手配する前に入会をおすすめする。
6歳以下の子連れは要注意!子どもと乗る場合は航空券手配は早めに!
ZIPAIRでは子どもと大人が隣り合わせで座る必要がある。そのために一部の座席指定料が無料でもあるのだが、一方で搭乗便の座席数に余裕があったとしても、子どもと大人が隣り合わせで座れる空席がない場合、そもそもチケットの購入ができない。
- ※安全上の理由により、お隣同士の座席確保が必要であるため、ご予約の便に空席があってもお隣同士の座席に空席がない場合は、0~6歳までのお子さまのご予約はいたしかねます。ご了承ください。(https://www.zipair.net/ja/ticket/u6)
また、6歳以下を含む予約では、ビジネスクラスが予約ができない。
ZIPAIRのフルフラットで2歳になる前の子どもとお得に海外旅行を、と夢見る方がいるが、それは不可能。2歳以下は座席無料なので、お得に旅したい場合はエコノミーで旅しよう。
預け入れ荷物の追加料金問題
何度も繰り返すが、我が家がLCCに不向きと思う理由は、とにかく旅行時の荷物が多いこと。(常にスーツケース重量30kg超え、ハワイからの帰国時はスーツケース含め20個近くの荷物など、空港までのタクシーも巨大VANが必要なほど)
ZIPAIRは座席自体がお手頃なので、手荷物を追加すればいいと思っていたのだが、不慣れなわたしたちの失敗談を備忘録も兼ねて記載する。
預け入れ手荷物の追加手続きは3回タイミングがある。
①航空券購入時
*ZIPAIR Point Club Plusで30%OFF適用
②搭乗前(ご出発24時間前まで)
*ZIPAIR Point Club Plusで30%OFF適用
③空港での当日手続き
*事務手数料が別途発生、ZIPAIR Point Club Plus割引適用外
①と②で事前手続きをしたのだが、一旦購入済みの重量追加はできない仕組みなのを知らなかった。
詳しく説明すると、23kgのスーツケース1個を購入していたとして、仮にパッキングした荷物が27kgだったとする。
普通なら32kgに重量アップしようと思うところ、Web上では14kg、23kg、32kgいずれかの荷物の個数を追加するしかないのだ。(23kg→32kgに追加変更ができない)
復路の荷物は旅先現地でどのくらい買い物するかで変わってくる。
私たちは、バンコクは深夜発の帰国便だったため、最終日も観光や買い物に出かける予定だった。そうなると、搭乗24時間前までに荷物をパッキングして重量を確定するのはむずかしい。
事前に32kgと23kgの手荷物をいくつかオプション購入していたのだが、途中までパッキングしている時点で実際の重量が想像つかず、念の為追加で手荷物預け入れオプションを購入。
結果そんなに要らなかったので、手荷物関連の手続きはなかなか慣れない作業だと感じた。
もう一点の注意事項は、機内持ち込み手荷物は①②の搭乗前までしか追加の手続きができないということ。
当日重量オーバーだった場合は機内に持ち込めず、追加の受託手荷物の料金を支払った預けることになる。
成田空港出発時は搭乗手続きの際に機内持ち込みの手荷物を全員分まとめて計測。(一人あたり個数は2つ、合計7kg)全員の合計が規定量ぴったりだったことを確認し、持ち込みの手荷物にステッカーを貼られ「絶対にこれ以上重さを増やさないでください!」と念を押されたのを鮮明に覚えている。
昔easy Jetに搭乗した際、搭乗ゲートでも荷物を再度計測されたこともあったが、ZIPAIRではそのようなことはなかった。とはいえ、ルールはルール。安全な運行のためにも従おう。
ZIPAIRの搭乗レポート!機内の様子やあると便利なグッズ紹介
ここまでZIPAIRに関する情報を紹介したが、最後に実際の搭乗の正直な感想を。
サービスはあくまで有料なLCCだからこそ、持ち込んだものなど
大型機Boing 787で快適なシート
“LCC=機体が古い、シートが狭い”などネガティブなイメージが多い。
短距離なら我慢できても、長距離は辛いだろう。
しかし、ZIPAIRの機体はJAL100%出資の新LCCなだけあって、すべてJALから譲り受けたBoing 787-8。シートピッチ(座席の足元幅)も余裕があって、エコノミーの中距離でいつも寝れない私も耐えられた。特に、往路はバルク席(一番前の足元が広い席)を予約していたので、座席に何にも不満なし。むしろ、快適そのもの。
▲調節が可能なヘッドレスト
LCCなので、座席モニターはなく、座席にあるボタンのこんなにシンプル。
電源ポートはコンセントとUSBどちらもあったので、LCCでこれなら大満足。
窓も大きく(787なので)、ボタンでブラインド調整も何段階かできるので、もはやLCCということも忘れるくらい。これから乗る人でLCCに不安を感じる方がいたら、機内ファシリティは心配しなくてで大丈夫、と伝えたい。
あると便利! 機内に持ち込んだものリスト
ZIPAIRがLCCである以上、サービスは基本的にオプション扱いで有料。
機内エンタメ用のモニターなし、ブランケットの貸し出しもなければ、お水も有料サービスとなっているZIPAIRに今回持ち込んだものを紹介する。
機内食など課金したオプション紹介
機内食は事前オーダーがお得。航空券予約時に表示される機内食オプションが一番種類が多く、直前になると注文できる食事の種類が減っていた気がした。事前予約期限は離発着やメニューによって異なるものの、全路線共通メニューの場合、出発の72時間前まで、海外発は出発の96時間前まで手続きが可能だ。
元々機内食はあまり食べないのだが、今回はどんな味なのか気になって三元豚のカツサンド(1,400円)や牛丼(1,300円)などを事前オーダーしておいた。
▲事前注文するとミニペットボトルのお水がもらえる
単品なので至ってシンプル。正直あれこれ乗った機内食プレートよりもいい。
感動的な美味しさ!とまではいかないものの、空の上でこの価格でこの味ならありよりのあり、と感じた。
バンコク便の機内食は離陸後約2時間で一斉サーブと聞いていたが、ANAラウンジに寄ってお腹いっぱいの状態で搭乗したため(プライオリティパスを利用)、あとで食べたい旨を相談したところ時間を調整してくれた。
事前注文するほどではないけれど、機内でちょっと小腹が空いたという人はスナックやアルコールもあるのでご安心を。
▲機内で購入したプリングルス。味は2種類選べて、各250円
無料WiFiは繋がりにくい
ZIPAIRはWiFi無料。しかし、正直繋がりにくかった印象だ。
よくある口コミ通り、動画を見れるほどネットワークは早くないので、事前にNexflixでダウンロードしておいて大正解。
モニターをはじめ機内エンタメがない分、WiFiが繋がらないことも想定して、音楽や映画をダウンロードしておくか、本を持ち込むなどしないと正直手持ち無沙汰になってしまう。
▲画面モニターがないため、boyはiPad持参
私自身は事前にiPhoneにNetflixの『Emily in Paris』を全話ダウンロードし、行きのフライトで全話完結。この旅で初めAirPods利用したら、ノイズキャンセラー機能が素晴らしすぎて、そのおかげでよりフライトが快適に感じたようにも思える。(この日以来有線派だった私もAirPods派に転向)
空いていても席移動は不可
▲帰国便、成田到着後の機内の様子
通常座席指定に料金がかかるため、機内でどんなに座席が空いていても移動はNG。
バンコク- 成田間の復路便では、3-3-3の配列で窓際2席を取っていたところ、お隣さんがやってきた。ふと周りを見渡すと、3席まるまる空いてる場所もちらほら。しかし、移動ができない以上、混んでいるところはそのままなのだ。
普段、JALやANAに搭乗時はチェックイン時に座席移動を提案してくれることもあるが、そういったやり取りは一切なし。LCCだから割り切るしかない。
実際に感じた機内でのサービス良し悪し
▲CAさんが書いてくれたフライトログ
機内のオプションサービスが明確なように、CAさんの接客もさっぱりしている印象を受けた。
帰国便ではお願いしていたチャイルドシートの用意がなく、CAさんに声を掛けたところ、新人かと思うような接客をされて残念な気持ちになった。(明らかに航空会社のミスなのに、まるでこちらに非があるような言い方)
深夜出発便なのでお互い疲れている時間とはいえ、唯一印象が悪かった出来事だ。
全体の接客はぶっきらぼうな物言いの方もいれば、子どもに積極的に声掛けしてくれる優しい印象の方までいろいろ。フルサービスキャリアで上級会員に挨拶して回る日系エアラインのtoo muchな対応までは望まないので、相対的に良くも悪くもないといったところ。
まとめ
飛行機や航空会社ラウンジ巡りが大好きで、これまで生涯飛行機搭乗は300回を超えるが(正確に数えたらもっとあるはず)、これまで乗ったLCCとは違う印象を受けた新LCC ZIPAIR。
小さな子ども連れにぴったりのサービス内容は、予約が取れづらくなったら困るので正直良さを教えたくない…そんな気持ちになりつつも、コスパのいいエアラインを使って少しでも多くの人が子連れ海外旅行を楽しめたらと思い、久々にエアライン関連のblog記事を更新した。
私自身、昔のようにビジネスやファーストクラスに乗って欧米を旅したいという気持ちは薄れる一方で、今は子どもたちも少しでも多く遠くに行きたい、ただそれだけ。ビジネスクラスは自分で払えるようになった乗るもの、夫の考えも一理ある。贅沢ばかりさせるより、思い出に残る体験にお金をかけつつ、これからも子どもたちとたくさんの景色を一緒に見れたら嬉しい。